こんにちは、ラテです☕
コーヒーソムリエ講座、第2回目です!前回は「コーヒーの歴史と名前の由来」についてお話ししました。カルディの説(逸話)から始まって、コーヒーが世界へと広まっていく壮大な歴史、楽しんでいただけましたか?
まだ読んでいない方はこちらからどうぞ:コーヒーソムリエ講座①|コーヒーの歴史と名前の由来を深掘り!
今回のテーマは「コーヒーの植物学・生豆の基礎知識」です。
「コーヒーってそもそもどんな植物なの?」「コーヒー豆ってどこの部分なの?」と疑問に思ったことはありませんか?コーヒーを深く知るには、まず植物としての構造を理解することがとても大切です。コーヒーソムリエの試験にもよく出るポイントなので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
コーヒーの木はどんな植物?|アカネ科・コーヒーノキ属
コーヒーの原料となるのは、アカネ科コーヒーノキ属(Coffea属)に分類される常緑の低木または小高木です。
原産地はエチオピアのカファ地方とされており、野生では樹高10m以上に育つこともありますが、収穫しやすくするためプランテーションでは2〜3m程度に剪定して管理されます。コーヒーの木は熱帯・亜熱帯の温暖な気候を好み、「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道を挟んだ北緯25度〜南緯25度の帯状地域で主に栽培されています。
葉は濃緑色で光沢があり、咲く花は白くてとても可憐で、ジャスミンに似た甘い香りがします。開花後、約6〜11か月(品種による)で果実(コーヒーチェリー)が熟し、収穫の時期を迎えます(アラビカ種:約6〜9か月、カネフォラ種:約9〜11か月)。コーヒーの花を実際に見たことがある方は少ないかもしれませんが、あの深みのあるコーヒーがこんなに可憐な花から生まれるというのが、なんとも不思議で面白いなと思います。
コーヒーの三大原種|アラビカ種・カネフォラ種(ロブスタ)・リベリカ種
コーヒーには100種類以上の原種が存在しますが、商業的に知られているコーヒーは主にアラビカ種・カネフォラ種(ロブスタ)・リベリカ種の3種類です。この3種類の特徴を理解することが、コーヒー選びの大きなカギになります。
アラビカ種(Coffea arabica)
アラビカ種は世界のコーヒー生産量の約60〜70%を占める主流の品種です。エチオピアを原産とし、標高1,000〜2,000mの冷涼な高地で主に栽培されます。気温は15〜24℃の穏やかな環境が適しており、年間1,500〜2,000mmほどの降水量が必要です。
風味は繊細でフルーティーな香りと明るい酸味が特徴で、カフェイン含有量も比較的低め(約0.8〜1.4%)です。産地ごとの個性が出やすく、スペシャルティコーヒーのほぼすべてがアラビカ種というのも納得ですよね。
ただし、さび病(Coffee Leaf Rust)に弱く栽培が難しいという面もあります。品質の高さと引き換えに、丁寧な管理が求められる、ちょっと繊細な品種とも言えます。
アラビカ種の中にも「ティピカ」「ブルボン」「ゲイシャ」「カトゥーラ」など多数の品種(カルティバー/栽培品種)があり、それぞれ風味や栽培特性が異なります。
受粉の特徴:自家受粉
アラビカ種は自分の花粉で受粉できる自家受粉の植物です。他の株の花粉を必要としないため、品種の特性が安定しやすく、品質が均一に保たれやすいという特長があります。
カネフォラ種(Coffea canephora)/ロブスタ
カネフォラ種は世界のコーヒー生産量の約30〜40%を占め、カネフォラ種の代表的な栽培変種である「ロブスタ」の名前で広く知られています。現在流通しているカネフォラ種のほとんどがロブスタ種であるため、一般的にロブスタと呼ばれます。コンゴ共和国(旧ベルギー領コンゴ)が原産で、標高0〜800mの低地・平地でも栽培でき、病害虫にも強い丈夫な品種です。気温24〜30℃の高温多湿な環境を好み、アラビカ種より多収でコストパフォーマンスも高いのが特徴です。
風味は苦味が強くアーシー(土っぽい)で、カフェイン含有量も高め(約2%〜3%)。コクが強く、クレマ(エスプレッソの泡)が出やすいため、インスタントコーヒーやエスプレッソブレンドに多く使われています。
「ロブスタ」という名前は「強靭(robust)」に由来しており、その名のとおり環境適応力が高いのが特徴です。アラビカ種に比べると風味の繊細さは劣りますが、価格の安さや栽培のしやすさから、世界中のコーヒーを支える縁の下の力持ち的な存在と言えるかもしれません(笑)
受粉の特徴:他家受粉
カネフォラ種は他家受粉の植物で、受粉には他の株の花粉が必要です。そのため遺伝的な変異が起こりやすく、雑種(ハイブリッド)もできやすい性質を持っています。この特性により品種間で多様な個体差が生まれやすい一方、品質の均一化には課題もあります。
リベリカ種(Coffea liberica)
リベリカ種は西アフリカのリベリアを原産とする品種で、三大原種のうち最も生産量が少なく、世界全体の流通量は1〜2%未満という希少品種です。低地の湿潤な熱帯地域を好み、アラビカ種・カネフォラ種に比べて樹高が高く、果実も大ぶりなのが特徴です。フィリピン・マレーシア・西アフリカ諸国などで主に栽培されています。
風味はスモーキーで独特な香りと重いコクが特徴で、好みがはっきり分かれる個性派コーヒーです。フィリピンでは「バラコ(Barako)」と呼ばれ親しまれており、日本ではほとんど流通していないことから「幻のコーヒー」とも言われています。
リベリカ種は「三大原種のひとつ」としてコーヒーソムリエの試験にも登場しますが、日本で実際に飲む機会はほとんどありません。その希少性とユニークな風味から、コーヒーマニアの間では非常に注目されている品種です。いつか機会があったらぜひ飲んでみたいですね!
三大原種 比較表
| 項目 | アラビカ種 | カネフォラ種(ロブスタ) | リベリカ種 |
|---|---|---|---|
| 原産地 | エチオピア | コンゴ共和国 | リベリア(西アフリカ) |
| 生産量シェア | 約60〜70% | 約30〜40% | 1〜2%未満(希少) |
| 栽培標高 | 1,000〜2,000m | 0〜800m | 低地(湿潤な熱帯地域) |
| カフェイン含有量 | 約0.8〜1.4% | 約2〜3% | 約1.2〜1.4% |
| 受粉方式 | 自家受粉(品質安定) | 他家受粉(変異しやすい) | 他家受粉 |
| 病害虫への強さ | 弱い | 強い | 強い |
| 風味の特徴 | 繊細・フルーティー・明るい酸味 | 強い苦味・アーシー・どっしり | スモーキー・独特な風味・重いコク |
| 主な用途 | スペシャルティ・シングルオリジン | インスタント・エスプレッソブレンド | 地産地消・一部ブレンド用途 |
| 価格帯 | 高め | 比較的安価 | 希少・流通量が非常に少ない |
アラビカ種の主要品種(カルティバー/栽培品種)
アラビカ種の中にも多くの品種(カルティバー/栽培品種)が存在し、それぞれ風味や栽培特性が異なります。コーヒーソムリエの試験にも出てくる代表的なものを一緒に見ていきましょう。
ティピカ(Typica)
アラビカ種の中で最も古い品種のひとつで、「原種に近い品種」とも言われます。エチオピアからイエメンへ、さらに世界へと広まったコーヒーの祖先にあたります。繊細で上品な酸味と甘みが特徴ですが、収量が少なく病害虫に弱いため、現在では生産量が限られています。ジャマイカのブルーマウンテンや、ハワイのコナコーヒーにもティピカ系の品種が使われています。
ブルボン(Bourbon)
ティピカの突然変異から生まれた品種で、インド洋のレユニオン島(旧名ブルボン島)で発見されたことからこの名前がつきました。甘みが豊かで複雑な酸味が特徴で、中米や南米の高品質なコーヒーに多く使われています。コロンビア・ブラジル・ルワンダなどの産地で栽培されています。
ゲイシャ(Gesha/Geisha)
パナマのエスメラルダ農園で世界的に脚光を浴びたことで有名な品種です。エチオピアのゲシャ村を原産とし、ジャスミン・ベルガモット・桃などを思わせる華やかな香りが特徴で、スペシャルティコーヒーの最高峰のひとつとして知られています。コーヒーの勉強を始めてから、いつかゲイシャを飲んでみたいと思うようになりました(笑)
カトゥーラ(Caturra)
ブルボンの突然変異から生まれた品種で、コンパクトな樹高が特徴です。収量が多く管理しやすいため、中米で広く栽培されています。明るい酸味とフルーティーな風味が特徴です。
生豆(グリーンビーンズ)の品質を決める要素
焙煎前の生豆の品質は、最終的なコーヒーの味わいに大きく影響します。「どうしてこのコーヒーはこんなに美味しいんだろう?」と感じたことがある方は、ぜひここも一緒に読んでみてください。
① 標高(アルティチュード)
標高が高いほど気温が低く、豆がゆっくりと成熟します。成熟がゆっくりな分だけ糖分が蓄積されやすく、風味が複雑になる傾向があります。スペシャルティコーヒーのラベルには「Altitude: 1,800m」などと記載されることがありますが、これを知ってから読むと意味が違って見えてきますよね。
② 収穫方法
完熟した実だけを手摘みで収穫する「ハンドピッキング(セレクティブピッキング)」は品質が高い反面、コストがかかります。一方、枝ごと収穫する「ストリッピング」は効率的ですが、未熟果や過熟果が混入しやすい面があります。
③ 精製方法
コーヒーチェリーから生豆を取り出す工程(ナチュラル・ウォッシュド・ハニープロセス)は、最終的な風味に大きく影響します。精製方法の違いについては、また別の回で詳しくお話しする予定です。お楽しみに!
④ 格付け(グレーディング)
生豆は国や産地によって異なる基準で格付け(グレーディング)されています。代表的な基準としては、標高の高さ(例:グアテマラ・コスタリカなどの「SHB(Strictly Hard Bean)」)、豆の大きさ(スクリーンサイズ)(例:ケニアの「AA」など)、欠点豆の少なさ(例:エチオピアのG1〜G5など)があります。同じ産地のコーヒーでも、グレードによって風味や価格が大きく異なります。
まとめ|コーヒーの植物学・生豆の基礎知識
今回はコーヒーの植物学的な基礎と、三大原種・アラビカ種の主要品種・各品種の受粉特性・生豆の品質要素についてお話ししました。
植物としてのコーヒーを知ると、カフェでコーヒーを選ぶときや、袋に書かれているラベルの意味がぐっと深く理解できるようになります。「このコーヒーはアラビカ種なんだ」「標高1,800mで育てられたのか」と思いながら飲むと、いつもの一杯がちょっと特別に感じられる気がしませんか?
次回は「コーヒーチェリー」について解説していきます。どうぞお楽しみに☕

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